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 軽井沢演劇部HPを御覧頂いている皆さまへ

 

コロナ禍での生活も、丸々2年過ぎてしまいました。先の読めぬ不安な日々の収束を祈るばかりです。

そのような中、突然ではございますが、軽井沢演劇部が幕を降ろすという、少し残念なお知らせをお伝えしなくてはならなくなってしまいました。

 

2011年の震災の年、軽井沢でもイベントの予定が次々なくなる中で、何かひとつでも前向きな催しができないかと、高原文庫新米理事の私は感じていました。軽井沢タリアセン、大藤副館長の協力のもと、秋の文学展、ヘルマン・ヘッセと北杜夫展に関連する作品の朗読会が実現しました。そのたった1回の公演から、軽井沢の自然の中で、現実を忘れるような睡鳩荘を活用し朗読劇をお届けすることは、高原文庫に新しいお客様をお呼びするためにも、また朝吹登水子さんの別荘を生かすためにも続けなくては、という思いが生まれました。加賀乙彦館長の励まし、多くの方々の協力を得て、翌2012年7月より、軽井沢演劇部(KEB)として、本格的に朗読会をスタートいたしました。東京の演劇界で活躍している俳優、スタッフと、力を合わせて、それまではなかった演劇的な朗読です。

 お蔭様で、魅力的な文学作品の朗読を睡鳩荘という空間から、たくさんお届けすることができました。昨年はちょうど10年という節目で、コロナ禍ではありましたが2年ぶりの公演が決まり、私達も張り切って直前まで稽古や準備を重ねてきました。しかし、東京の緊急事態宣言発令の影響で、やむなく中止になってしまいました。

年が明けても厳しいコロナ禍は続いている現状も大きな要因として、この度、軽井沢高原文庫藤巻理事長より、軽井沢演劇部の継続は難しいという決断が下されました。軽井沢高原文庫のために始まった演劇部ですから、文庫の存続を第一に考えた判断であれば、仕方ないことです。

ただ、ただ、残念で寂しいというのが、部員一同の気持ちです。と同時に軽井沢らしい文学イベントをひとつ消すことになると思っています。でも、コロナ禍では、何かを諦めたり、失ったりすることは、特別ではないこともわかりますし、10年続けることができたことは奇跡に近いことだったのかもしれません。

毎年誰よりも朗読会を楽しみに待っていた加賀乙彦館長、恒例の前説、朗読の最中に聞こえるカモの声や、ヒグラシ、セミの声。時間によって変わる照明部泣かせの自然光。今となってはすべてが愛おしく夢の中のようです。睡鳩荘にふさわしい衣裳、靴を揃えたり、避暑地の雰囲気を大切にしてきました。それらすべて、演劇人としても楽しく素晴らしい体験でした。

皆様にとっての文学的な豊かな時間。避暑地軽井沢だから味わえる時間、それらを、私たち軽井沢演劇部のメンバーが作るお手伝いが少しでもできていたとしたら、本当に幸せです。皆さまと過ごした時間、そして作り上げた朗読作品の数々は、私達の宝物です。本当にありがとうございました。

尚、この軽井沢演劇部公式サイトは、4月末をもって閉鎖となります。今まで御覧頂いた方には深くお礼を申し上げます。報告と感謝をこめて、ご挨拶といたします。

                           軽井沢演劇部 部長 矢代朝子

                                  部員一同

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